Mリーグの試合の重要度を可視化してみた

こんにちは! ドリブラーの藤本みどりです!!

この記事では、過去のMリーグの試合の重要度をグラフにして可視化してみます。

 

 

以前の記事でMリーグの試合の重要度を定量化しました。

fujimoto-green.hatenablog.com

 

簡単に言うと、対象試合前後の優勝確率*1変動量の標準偏差*2を計算し、それを「重要度」と定義しました。

要は、その試合前後で優勝確率が大きく上下し得るほど重要な試合だと言えるよねってことです。

 

重要度は、同じ試合でもチームによって異なる値をとります。

例えば、優勝争い真っ只中のチームAと既に優勝争いから脱落したチームBがあるとします。

このとき、対象試合前後で、チームAの優勝確率がチームBの優勝確率よりも変動しやすいという状況が容易に想像できます。その場合、対象の試合はチームAにとっては重要であるが、チームBにとってはもはや重要でないと言えます。

 

つまり、重要度は「各試合ごとに」「各チームごとに」計算できます。

細かい説明は上述の記事を参照してください。

 

 

重要度の可視化

以下、重要度をIMPと表記します。

今回の記事では、各チームのIMPを試合ごとに積み上げた積み上げ棒グラフで可視化してみます。

 

優勝確率の変動量をもとに計算したIMPを「IMP for Victory」、ファイナル進出確率の変動量をもとに計算したIMPを「IMP for Final」、セミファイナル進出確率の変動量をもとに計算したIMPを「IMP for Seminal」と呼ぶことにします。

 

また、チーム名の略号とグラフの色は次の通りです。

 

では、シーズンごとにIMPの積み上げ棒グラフをお見せします!

 

2018シーズン

記念すべき初年度。レギュラーを4位で通過したドリブンズが3チームをぶっこぬいて優勝しました。

 

まず、参考のために2018シーズンのチームスコア推移を置いておきます。

注:スコアを半減する代わりに、ファイナルの試合のスコアを2倍にして計算しています。

このシーズンは

  • レギュラー140試合(#1〜#140)
  • ファイナル24試合(#141〜#164)

の合計164試合でした。

 

IMP for Final

2018シーズンのIMP for Finalは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第135試合(2019/2/8 第1回戦)でした。特にPiratesABEMASフェニックス麻雀格闘倶楽部のIMPが大きいです。

 

当時の状況を振り返ってみましょう。

試合前後のチームスコアとファイナル進出確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第135試合 試合後スコア 試合前確率 第135試合 試合後確率
風林火山 328.8   328.8 100.0% ±0.0% 100.0%
ドリブンズ 68.9   68.9 94.1% +1.6% 95.7%
ABEMAS 55.4 +63.0 118.4 77.8% +15.8% 93.6%
麻雀格闘倶楽部  28.0   28.0 84.1% +3.8% 87.9%
Pirates -66.9 -19.4 -86.3 32.2% -12.0% 20.2%
フェニックス -145.4 -45.2 -190.6 10.9% -8.5% 2.4%
雷電 -268.8 +1.6 -267.2 0.9% -0.7% 0.2%

 

3位ABEMASと下位3チームが一堂に会した一戦です。

第135試合を含めてレギュラーシーズンは、風林火山、ドリブンズ、麻雀格闘倶楽部残り2試合、他4チームは残り4試合の最終盤です。

IMPが高い4チームはカットライン(4位)付近に位置しており、この一戦に勝てばファイナル進出に向けて大きく前進することがわかります。

 

実際に勝利したABEMASはファイナル進出確率を15.8%も押し上げ、ファイナル進出を確実なものにしました。

一方、逆連対のPiratesフェニックスはこの1試合でファイナル進出確率を大きく下げました。特にフェニックスにとってはワンチャン(10.9%)あったファイナル進出の可能性が1/4になる(2.4%)大打撃でした。

また、試合に参加していない麻雀格闘倶楽部がファイナル進出確率を3.8%も伸ばしているのも印象的です。

 

IMP for Victory

2018シーズンのIMP for Victoryは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第150試合*4(2019/3/10 第1回戦)でした。特にドリブンズ風林火山のIMPが大きいです。

 

試合前後のチームスコアと優勝確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第150試合 試合後スコア 試合前確率 第150試合 試合後確率
ドリブンズ 208.5 -25.6 182.9 46.9% -9.3% 37.7%
風林火山 175.1 +62.2 237.3 38.7% +13.4% 52.1%
ABEMAS -41.8 -55.4 -97.2 8.7% -4.1% 4.6%
麻雀格闘倶楽部 -93.3 +18.8 -74.5 5.7% -0.1% 5.6%

 

ファイナル中盤、上位2チームのスコアが近づき、下位2チームにもぎりぎり可能性があるある状況での一戦です。

ドリブンズと風林火山のIMPの和は、第151〜153, 156試合の方が大きいですが、ABEMASと麻雀格闘倶楽部の2チームのIMPが加わった第150試合の方が全体の合計が大きくなりました。

 

実際の結果は、風林火山がドリブンズとのトップ3着を決め、暫定首位に立ちました。2チームの優勝確率差はこの1試合で22.6%も変動し、状況が一変したことがわかります。

最終的には、第151〜154試合のドリブンズ4連勝を皮切りにドリブンズが独走優勝しました。

 

ちなみに前述の通り、ドリブンズと風林火山の2チームに限定して見ればそれ以後の試合の方がIMPが大きく、例えば第153試合ではドリブンズが風林火山とのトップラスを決めて優勝確率差を35.3%も動かしました*5

もしかしたらこっちの方が視聴者の印象に残ってるかもしれないですね。

 

 

2019シーズン

サクラナイツが参入し、全8チームになったシーズンです。レギュラー・セミファイナルをともにぎりぎりで通過したPiratesが最後の最後に上位を追い抜き優勝しました。

 

まず、参考のために2019シーズンのチームスコア推移を置いておきます。

注:スコアを半減する代わりに、セミファイナルのスコアを2倍に、ファイナルのスコアを4倍にして計算しています。

このシーズンは

  • レギュラー180試合(#1〜#180)
  • セミファイナル24試合(#180〜#204)
  • ファイナル12試合(#205〜#216)

の合計216試合でした。

 

IMP for Semifinal

2019シーズンのIMP for Semifinalは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第180試合(2020/3/9 第2回戦)、レギュラー最終戦です! しかもなんと、Piratesとドリブンズの2チームだけで最大値を叩き出しています。

 

当時の状況を振り返ってみましょう。

試合前後のチームスコアとセミファイナル進出確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第180試合 試合後スコア 試合前確率 第180試合 試合後確率
フェニックス 438.6 +56.9 495.5 100.0% ±0.0% 100.0%
ABEMAS 273.9   273.9 100.0% ±0.0% 100.0%
麻雀格闘倶楽部 213.1 -18.1 195.0 100.0% ±0.0% 100.0%
サクラナイツ 48.4   48.4 100.0% ±0.0% 100.0%
雷電 -80.1   -80.1 100.0% ±0.0% 100.0%
Pirates -202.3   -202.3 74.9% +25.1% 100.0%
ドリブンズ -235.1 -41.2 -276.3 25.1% -25.1% 0.0%
風林火山 -476.5 +2.4 -474.1 0.0% ±0.0% 0.0%

 

まさに土壇場、ドリブンズがPiratesとのスコア差32.8 ptを詰めきれれば勝ち、そうでなければ負けという状況。

ドリブンズの試合前進出確率25.1%は「トップなら勝ち」という状況を端的に物語っています。*6

 

Piratesは自分が参加していない試合に全てが懸かっているわけで……すごい試合ですね。

 

IMP for Final

2019シーズンのIMP for Finalは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第194試合*7(2020/3/24 第2回戦)です。麻雀格闘倶楽部Pirates雷電ABEMASのIMPが特に大きいです。

 

試合前後のチームスコアとファイナル進出確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第194試合 試合後スコア 試合前確率 第194試合 試合後確率
フェニックス 233.1   233.1 97.2% -0.2% 97.0%
サクラナイツ 193.7   193.7 94.6% -0.3% 94.3%
ABEMAS 85.0 -18.3 66.7 81.8% -2.4% 79.4%
Pirates 13.3 +51.5 64.8 62.4% +16.0% 78.4%
麻雀格闘倶楽部 -63.3 +6.8 -56.5 36.4% -1.0% 35.4%
雷電 -96.5 -40.0 -136.5 27.6% -12.1% 15.5%

 

セミファイナル中盤、進出確率90%超の上位2チームを除いた4チームの一戦です。

スコアを見るとただの接戦ですが、進出確率で見るとPiratesの一人勝ちです。それだけPiratesがトップを獲ることが周りに与えるダメージが大きかったということでしょう。逆に麻雀格闘倶楽部雷電からしてみれば、Piratesのトップだけは避けたかったところでした。

 

実際にはこの後雷電がPiratesに大きく接近し、第200試合にIMP合計値のピークがもう一つできています。

しかし、下位4チームすべてがファイナル進出争いに絡んでいるという点が評価され、第194試合の方が大きいIMP合計値を記録しています。

 

IMP for Victory

2019シーズンのIMP for Victoryは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第216試合*8(2020/6/23 第2回戦)です。PiratesフェニックスABEMASのIMPが特に大きいです。

 

試合前後のチームスコアと優勝確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第216試合 試合後スコア 試合前確率 第216試合 試合後確率
Pirates 183.5 +61.2 244.7 42.6% +57.4% 100.0%
フェニックス 175.5 +9.6 185.1 40.0% -40.0% 0.0%
ABEMAS 127.9 -49.9 78.0 17.4% -17.4% 0.0%
サクラナイツ -228.2 -20.9 -249.1 0.0% ±0.0% 0.0%

 

3チームに優勝の目がある最終決戦です。いつ見ても惚れ惚れしますね。

IMP合計値1.26というのは他に類を見ないほど大きい値です。*9

 

この試合が重要なのは一目瞭然なので、逆にあんま書くこと無いです。

 

 

2020シーズン

セミファイナルを4位で通過した風林火山が最後の大まくりで優勝したシーズンです。

 

まず、参考のために2020シーズンのチームスコア推移を置いておきます。

注:スコアを半減する代わりに、セミファイナルのスコアを2倍に、ファイナルのスコアを4倍にして計算しています。

このシーズンは

  • レギュラー180試合(#1〜#180)
  • セミファイナル24試合(#180〜#204)
  • ファイナル12試合(#205〜#216)

の合計216試合でした。

 

IMP for Semifinal

2020シーズンのIMP for Semifinalは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第180試合(2021/3/12 第2回戦)、レギュラー最終戦です。Piratesと雷電の2チームだけで最大値を叩き出しています。

 

当時の状況を振り返ってみましょう。

試合前後のチームスコアとセミファイナル進出確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第180試合 試合後スコア 試合前確率 第180試合 試合後確率
ABEMAS 702.7 -48.0 654.7 100.0% ±0.0% 100.0%
サクラナイツ 432.7 +64.6 497.3 100.0% ±0.0% 100.0%
ドリブンズ -3.2   -3.2 100.0% ±0.0% 100.0%
風林火山 -108.8   -108.8 100.0% ±0.0% 100.0%
麻雀格闘倶楽部 -168.5   -168.5 100.0% ±0.0% 100.0%

雷電

-210.5   -210.5 78.9% +21.1% 100.0%
Pirates -266.2 +1.9 -264.3 21.1% -21.1% 0.0%
フェニックス -378.2 -18.5 -396.7 0.0% ±0.0% 0.0%

 

Piratesが雷電とのスコア差55.7 ptを詰めきれれば勝ち、そうでなければ負けという状況です。Piratesの立場は逆ですが、2019シーズンの再来と言えましょう。

 

Piratesが35700点以上のトップを獲ればセミファイナル進出できるという条件戦です。

実は諸確率を計算するときに、条件戦の影響を排してランダムにスコアを当てがっています。

第180試合で戦うドリブンズの選手は条件を気にせず無作為に打つわけが無く、35700点以上のトップを狙おうとするはずですから、実際の逆転の確率は21.1%よりも高くなるものと思われます

 

このように選手達の思惑を反映せずに計算しているので、獲得スコアの分布が無作為な状態から大きく歪められる条件戦には弱いです。

 

IMP for Final

2020シーズンのIMP for Finalは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第204試合*10(2021/4/30 第2回戦)セミファイナル最終戦です。麻雀格闘倶楽部風林火山の2チームだけでIMP合計値の最大値を記録しています。

 

試合前後のチームスコアとファイナル進出確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第204試合 試合後スコア 試合前確率 第204試合 試合後確率
ABEMAS 485.8 +51.1 536.9 100.0% ±0.0% 100.0%
サクラナイツ 337.8 -43.3 294.5 100.0% ±0.0% 100.0%
ドリブンズ 40.6 -14.0 26.6 100.0% ±0.0% 100.0%
風林火山 -89.1 +6.2 -82.9 50.7% +49.3% 100.0%
麻雀格闘倶楽部 -98.4   -98.4 49.3% -49.3% 0.0%
雷電 -346.2   -346.2 0.0% ±0.0% 0.0%

 

セミファイナル最終戦です。

IMP for Semifinalのときと同様に条件戦ですが、進出圏内の風林火山が最終戦に参加しているので、この場合は実際の逆転の確率が49.3%よりも低くなるはずです。

 

IMP for Victory

2020シーズンのIMP for Victoryは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第216試合*11(2020/5/10 第2回戦)です。風林火山サクラナイツABEMASの3チームでIMP合計値を最大にしています。

2021シーズンはどのステージも最終戦でIMP合計値が最大であったということは、最後まで優勝/進出チームが分からなかったということなので、興業としては大成功ですね!

 

試合前後のチームスコアと優勝確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第216試合 試合後スコア 試合前確率 第216試合 試合後確率
風林火山 231.1 +11.2 242.3 73.3% +26.7% 100.0%
サクラナイツ 163.8 -60.4 103.4 19.1% -19.1% 0.0%
ABEMAS 125.6 -23.9 101.7 7.6% -7.6% 0.0%
ドリブンズ -132.8 +73.1 -59.7 0.0% ±0.0% 0.0%

 

3チームに優勝の目がある最終決戦です。

IMP合計値は0.962で、前シーズンほどではありませんが、激アツの一戦です。

 

ちなみにこの試合はドリブンズ村上選手が暴れ散らかして炎上し、「目無し問題」の議論のきっかけとなった一戦でもあります。

私はドリブンズファンで、しかも当時村上選手が一番好きだったのでフェアな意見ではありませんが、「別によくね?」派です。

……でも自分がサクラナイツやABEMASのファンだったとして「仕方がない」の一言で済ませられた自信はないので、他人を説得するほど強くは主張できません。

 

 

2021シーズン

サクラナイツがフェニックス・ABEMASとの大激戦を制し優勝したシーズンです。

 

まず、参考のために2021シーズンのチームスコア推移を置いておきます。

注:スコアを半減する代わりに、セミファイナルのスコアを2倍に、ファイナルのスコアを4倍にして計算しています。

このシーズンは

  • レギュラー180試合(#1〜#180)
  • セミファイナル24試合(#180〜#204)
  • ファイナル12試合(#205〜#216)

の合計216試合でした。

 

IMP for Semifinal

2021シーズンのIMP for Semifinalは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第144試合(2022/2/8 第2回戦)です。特にドリブンズフェニックス麻雀格闘倶楽部ABEMASのIMPが大きいです。

 

当時の状況を振り返ってみましょう。

試合前後のチームスコアとセミファイナル進出確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第144試合 試合後スコア 試合前確率 第144試合 試合後確率
Pirates 315.3   315.3 98.3% +0.1% 98.4%
風林火山 299.5   299.5 97.9% +0.1% 98.0%
ABEMAS 179.3 +15.0 194.3 92.6% +1.7% 94.3%
サクラナイツ 140.0   140.0 90.7% +0.4% 91.1%
麻雀格闘倶楽部 66.2 -9.8 56.4 82.0% +0.2% 82.2%

フェニックス

5.0 +59.5 64.5 72.4% +10.6% 82.9%
ドリブンズ -27.7 -64.7 -92.4 66.1% -13.2% 52.9%
フェニックス -997.6   -997.6 0.0% ±0.0% 0.0%

 

カットライン付近の3チーム(麻雀格闘倶楽部フェニックスドリブンズ)が戦う一戦です。

 

フェニックスがドリブンズをトップラスで下し、セミファイナル進出に向けて大きく前進しました。

ドリブンズにとっては激痛で、フェニックスとドリブンズのセミファイナル確率差は、この一戦で6.2%から30.0%まで開いてしまいました。

 

とはいえ、ドリブンズの進出確率はまだ52.9%あるので絶望的な状況になったわけじゃないのですが、これ以降6位との差がじわじわ広がっていき、逆転可能なシチュエーションに持って行けませんでした。

残り30試合以上もあったのに、これが最後のチャンスだったというわけです。辛いね。

 

IMP for Final

2021シーズンのIMP for Finalは次のグラフの通りです。



IMPの合計値が最大になったのは第203試合*12(2022/4/8 第1回戦)です。特にPiratesABEMASフェニックス麻雀格闘倶楽部のIMPが大きいです。

 

試合前後のチームスコアとファイナル進出確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第203試合 試合後スコア 試合前確率 第203試合 試合後確率
サクラナイツ 248.5   248.5 100.0% ±0.0% 100.0%
麻雀格闘倶楽部 192.1 -16.9 175.2 92.4% +6.8% 99.1%
ABEMAS 181.7 +8.4 190.1 89.4% +10.4% 99.8%
フェニックス 120.2   120.2 87.7% +12.0% 99.7%
Pirates 76.8 -45.3 31.5 30.3% -28.9% 1.3%
風林火山 -69.4 +53.8 -15.6 0.3% -0.3% 0.0%

 

セミファイナルステージの最後から2番目の試合です。

4位フェニックスと5位Piratesのスコア差は僅か43.4 pt。Piratesはこの試合トップを獲れば非常に有利な最終戦を迎えられますが、結果はラス。Piratesのファイナル進出確率は1/10以下になりました。

 

終戦でPiratesは、どのチームからの逆転を狙うにしても大きなトップが必要になりました。

ちなみに、確率を計算するのに使ったスコアの分布は、正規分布を仮定しており、実際のMリーグの結果の分布と比べて極端に大きいスコアが出にくいことが分かっています。

つまり、例えば+100.0 pt超のトップが数年に一度にしか出ないような設定で計算しています。

これは、実際の卓で2着目を大きく突き放すトップ目が現れたとき、他家がトップ目を止めるメリットが薄くなり、大トップが出やすくなっているからだと思われます。

 

そのため、実はPiratesが大トップを記録する確率は低く見積もられてしまっているのですが、麻雀格闘倶楽部やABEMASはPiratesに逆転されないように打つでしょうし、Piratesの逆転進出の確率が1.3%よりも大きいかは微妙なところです。

 

IMP for Victory

2021シーズンのIMP for Victoryは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第216試合*13(2022/4/26 第2回戦)ファイナル最終戦です。サクラナイツフェニックスABEMASのIMPが特に大きいです。

 

試合前後のチームスコアと優勝確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第216試合 試合後スコア 試合前確率 第216試合 試合後確率
サクラナイツ 189.8 +12.2 202.0 52.1% +47.9% 100.0%
フェニックス 162.3 -20.7 141.6 38.6% -38.6% 0.0%
ABEMAS 105.8 -51.6 54.2 9.3% -9.3% 0.0%
麻雀格闘倶楽部 -119.0 +60.1 -58.9 0.0% ±0.0% 0.0%

 

3シーズン連続の3チームに優勝の目がある最終決戦です。

IMP合計値は2019最終戦より小さく、2020最終戦より大きいです。

 

この年のファイナルはレギュラーで無双した沢崎選手が病気で離脱、稼ぎ頭の堀選手が脚を負傷するなど、サクラナイツがボロボロの状態で戦ってた印象があります。

 

 

2022–23シーズン

ポストシーズンで勝ちまくったABEMASが悲願の優勝を果たしたシーズンです。

 

まず、参考のために2022–23シーズンのチームスコア推移を置いておきます。

注:スコアを半減する代わりに、セミファイナルのスコアを2倍に、ファイナルのスコアを4倍にして計算しています。

このシーズンは

  • レギュラー188試合(#1〜#188)
  • セミファイナル30試合(#188〜#218
  • ファイナル16試合(#218〜#234)

の合計234試合でした。

 

IMP for Semifinal

2022–23シーズンのIMP for Semifinalは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第158試合(2023/2/23 第2回戦)です。特にフェニックスサクラナイツ雷電ドリブンズのIMPが大きいです。

 

当時の状況を振り返ってみましょう。

試合前後のチームスコアとセミファイナル進出確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第158試合 試合後スコア 試合前確率 第158試合 試合後確率
風林火山 571.5   571.5 100.0% ±0.0% 100.0%
麻雀格闘倶楽部 426.9   426.9 100.0% ±0.0% 100.0%
Pirates 87.1   87.1 97.0% +0.2% 97.2%
ABEMAS -63.5   -63.5 87.2% +0.5% 87.7%
雷電 -136.0 +9.1 -126.9 77.0% +3.5% 80.5%

サクラナイツ

-170.1 -16.2 -186.3 70.9% -1.0% 69.8%
フェニックス -237.4 -45.2 -282.6 55.7% -9.4% 46.3%
ドリブンズ -478.5 +52.3 -426.2 12.2% +6.2% 18.4%

 

下位4チームの一戦です。

 

何気ない試合のように見えますが、4チームともカットラインに絡んでいることと、これ以降下位2チームがめっきり勝てなくなったことから、この試合のIMP合計値が最大になったようです。

 

IMP for Final

2022–23シーズンのIMP for Finalは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第216試合*14(2022/5/2 第2回戦)です。特にPirates麻雀格闘倶楽部のIMPが大きいです。

 

試合前後のチームスコアとファイナル進出確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第216試合 試合後スコア 試合前確率 第216試合 試合後確率
風林火山 269.2 +69.4 338.6 99.3% +0.7% 100.0%
ABEMAS 251.7   251.7 99.8% +0.2% 100.0%
雷電 201.9 -28.1 173.8 99.5% +0.5% 100.0%
麻雀格闘倶楽部 99.9 +10.9 110.8 61.8% +31.6% 93.4%
Pirates 69.1 -52.2 16.9 39.7% -33.1% 6.6%
サクラナイツ -347.4   -347.4 0.0% ±0.0% 0.0%

 

セミファイナルステージの最後から3番目の試合です。

最終日は風林火山、ABEMAS、麻雀格闘倶楽部、サクラナイツの4チームの戦いなので、雷電とPiratesにとってはセミファイナル最終戦です。

 

実質的に麻雀格闘倶楽部とPiratesで残り1席を争っている状況で、Piratesは最終日の麻雀格闘倶楽部に厳しい条件を突きつけたかったですが、無念のラス。Piratesのファイナル進出確率は大幅に下がりました。

……なんか昨シーズンと似た状況ですね。

 

IMP for Victory

2022–23シーズンのIMP for Victoryは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第230試合*15(2022/5/16 第2回戦)です。ABEMAS麻雀格闘倶楽部雷電のIMPが特に大きいです。

 

試合前後のチームスコアと優勝確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第230試合 試合後スコア 試合前確率 第230試合 試合後確率
ABEMAS 284.7 +106.8 391.5 55.9% +33.5% 89.4%
麻雀格闘倶楽部 238.0 -38.5 199.5 35.6% -25.7% 9.9%
雷電 114.9 -61.7 53.2 8.5% -7.8% 0.7%
風林火山 -209.9 -6.6 -216.5 0.0% ±0.0% 0.0%

 

ファイナルステージの最後から5番目の試合です。

 

ABEMASと麻雀格闘倶楽部が競り、雷電がその後を追う展開でしたが、ABEMASが+106.8 ptの特大トップで大勢を決めました。

特にABEMASと麻雀格闘倶楽部の優勝確率差はこの一戦だけで59.2%も開き、試合前後の各チームの優勝確率をみればその破壊力は明らかです。

 

 

2023–24シーズン

BEAST Japanextが新たに加わり、9チームになったシーズンです。安定して勝ちを積み重ねたPiratesが2度目の優勝を果たしました。

 

まず、参考のために2023–24シーズンのチームスコア推移を置いておきます。

注:スコアを半減する代わりに、セミファイナルのスコアを2倍に、ファイナルのスコアを4倍にして計算しています。

このシーズンは

  • レギュラー216試合(#1〜#216)
  • セミファイナル30試合(#217〜#246)
  • ファイナル16試合(#247〜#262)

の合計262試合でした。

 

IMP for Semifinal

2023–24シーズンのIMP for Semifinalは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第181試合(2024/2/29 第1回戦)です。特にフェニックス雷電BEASTのIMPが大きいです。

 

当時の状況を振り返ってみましょう。

試合前後のチームスコアとセミファイナル進出確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第181試合 試合後スコア 試合前確率 第181試合 試合後確率
ドリブンズ 499.3 +19.1 518.4 100.0% ±0.0% 100.0%
Pirates 437.0   437.0 100.0% ±0.0% 100.0%
サクラナイツ 319.0   319.0 99.9% ±0.0% 99.9%
麻雀格闘倶楽部 136.7   136.7 97.9% ±0.0% 97.9%
ABEMAS 60.4   60.4 95.1% ±0.0% 95.1%

フェニックス

-313.6 +60.7 -252.9 36.1% +13.9% 50.0%
雷電 -334.0 -17.2 -351.2 32.0% -4.6% 27.3%
BEAST -394.6 -62.6 -457.2 21.4% -8.8% 12.6%
風林火山 -410.2   -410.2 17.7% -0.5% 17.2%

 

首位ドリブンズとカットライン付近の3チームの一戦です。

 

実質的に6位の椅子を4チームで争う構図で、試合前は6〜9位が100 pt以内に密集する接戦でしたが、試合後は上下200 pt以上の差がつきました。

フェニックスは雷電BEASTを3・4位に下しながらトップを獲得し、一先ず有利な位置につけました。

 

実際にはこの後も下位4チームの泥沼の争いは続きますが、そのうち3チーム以上が同時に対戦する機会がしばらく無かった*16ので、第181試合のIMP合計値が最大となりました。

なお、これ以降フェニックスは逆連帯を重ねて沈み、反対にトップを連発した風林火山が6位に滑り込むこととなりました。

 

IMP for Final

2023–24シーズンのIMP for Finalは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第227試合*17(2024/4/16 第1回戦)です。特にドリブンズ麻雀格闘倶楽部ABEMASサクラナイツのIMPが大きいです。

 

試合前後のチームスコアとファイナル進出確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第227試合 試合後スコア 試合前確率 第227試合 試合後確率
Pirates 368.7   368.7 97.9% +0.1% 98.0%
風林火山 218.0   218.0 88.1% +0.3% 88.4%
サクラナイツ 85.0 +56.9 152.9 63.9% +14.6% 78.5%
ドリブンズ 48.3 -49.4 -1.1 55.6% -11.3% 44.3%
ABEMAS 22.9 -28.2 -5.4 49.7% -6.2% 43.5%
麻雀格闘倶楽部 1.4 +9.7 11.1 44.7% +2.6% 47.3%

 

密集した下位4チームの一戦です。

3位サクラナイツが4位ドリブンズとのトップラスを決め、ファイナル進出圏内の立場を盤石なものにしました。

 

試合後のスコアを見ると、次戦(第228試合)も熱い展開に見えます。

実際に第228試合のIMPの合計値も第227試合とほぼ同じなのですが、サクラナイツが頭一つ抜けた分だけ微減しています。

 

ちなみに、第228試合ではドリブンズが大トップ、サクラナイツが耐えの2着をマークし、下位2チームを突き放す展開へと移行していきます。

 

IMP for Victory

2023–24シーズンのIMP for Victoryは次のグラフの通りです。

IMPの合計値が最大になったのは第255試合*18(2024/5/13 第1回戦)です。ファイナル進出全チームが大きいIMPを記録していますが、特にPirates風林火山が大きいです。

 

試合前後のチームスコアと優勝確率は下表の通りです。

チーム名 試合前スコア 第255試合 試合後スコア 試合前確率 第255試合 試合後確率
Pirates 257.2 +63.4 320.6 47.1% +22.1% 69.2%
風林火山 215.9 -50.8 165.1 33.9% -15.8% 18.1%
サクラナイツ 128.7 -19.5 109.2 15.5% -5.4% 10.1%
ドリブンズ -8.8 +6.9 -1.9 3.4% -0.9% 2.5%

 

ファイナルステージ中盤の試合です。

 

ファイナルステージ開幕からPiratesと風林火山が競り、そこにサクラナイツが割り込んできたという状況です。

この試合では、首位Piratesが2位風林火山とのトップラスを決め、とりあえず良い位置を築くことに成功しました。

 

これ以降、Piratesは第255〜261試合で脅威の7連続連対を記録し、独走優勝を果たしました。

そのため、他3チームにとってはこの試合が最後の逆転のチャンスだったという意味で、IMP合計値が最大になったのでしょう。

 

 

2024–25シーズン(2024/12/13時点)

現行のシーズンです。

まだレギュラーシーズンの半分程度しか終わっておらず*19、言えることが少ないので、グラフをまとめて表示します。

 

チームスコア推移

注:スコアを半減する代わりに、セミファイナルのスコアを2倍に、ファイナルのスコアを4倍にして計算しています。

 

IMP for Semifinal

 

IMP for Final

 

IMP for Victory

 

全体的にIMPが下がり気味なのが今シーズンの特徴です。これは下位3チームが早い段階で沈んでしまったことによるものです。

 

しかし、ここ最近6位サクラナイツがマイナスを重ねて7位に接近しており、下位4チームで1つの進出権を争う事態になれば、IMPが跳ね上がっていくものと予想されます。

実際に2022–23シーズンのIMP for Semifinalは中盤で一時的に下がった後に跳ね上がっています。

 

 

ちなみに……

ちなみに、この記事でお見せしたグラフやその生データは、すべてGoogleスプレッドシートで公開しています。

 

詳しくは、下記記事をご参照ください。

fujimoto-green.hatenablog.com

 

 

 

以上です。ではでは。

 

*1:あるいはファイナル進出確率やセミファイナル進出確率

*2:厳密には「標準偏差のような値」

*3:2023–24シーズンはBEAST Japanext

*4:ファイナル第10試合

*5:ドリブンズ59.8%→78.9%、風林火山35.1%→19.0%

*6:32800点以上の同率トップや、52800点以上の2着でも進出できるので、25%よりも僅かに大きいです。

*7:セミファイナル第14試合

*8:ファイナル第12試合

*9:IMPとは優勝確率の変動量の標準偏差もどきなので、1チームのIMPの理論上の最大値は0.5です。そのため、3チームで1.26というのは馬鹿でかいです。

*10:セミファイナル第24試合

*11:ファイナル第12試合

*12:セミファイナル第23試合

*13:ファイナル第12試合

*14:セミファイナル第28試合

*15:ファイナル第12試合

*16:次の機会は第205試合(2024/3/21)だったが、そのときにはもう6位風林火山セミファイナル進出率が80%程度であった。

*17:セミファイナル第11試合

*18:ファイナル第9試合

*19:104試合終了