こんにちは! ドリブラーの藤本みどりです!!
2024–25シーズンのセミファイナルステージが終了しました。我らがドリブンズは無事に首位通過。昨年に引き続きファイナルを楽しめる喜びを噛み締めてます。ありがとうドリブンズ。
この記事では、独自のシミュレーションで算出した各チームのファイナル進出確率や優勝確率をもとに、セミファイナルを振り返ったり、ファイナルの展望を占ったりします。
また、この記事は連載記事で、レギュラーステージ中に同様の記事(Part1〜Part6)をリリースしています。「Mリーグ2024–25」カテゴリーにまとめてあるので、興味のある方はそちらもご覧ください。
ちなみに、2025-26シーズンのシミュレーション結果を「Mリーグ2025-26シミュレーション」カテゴリに投稿しています。こちらも是非ご覧ください。
0. 計算方法・注意事項
この記事では、未完了試合にランダム生成した最終スコア*1を当てはめるシミュレーションを繰り返して、ファイナル進出確率等を計算しています。
この最終スコアは、4人の最終持ち点がそれぞれ同じ正規分布に従うという仮定のもとにランダム生成されています。*2
しかし、実際の最終持ち点分布は正規分布と微妙に異なりますし、条件戦では条件次第で正規分布と全く違った分布に従うことが予想されます。*3
そのため、この記事の数値は実際の状況と異なる可能性があります。
このことをご了承の上でご覧ください。
1. チームスコア
まずはセミファイナル期間中のチームスコアの推移を確認する。


また、セミファイナル終了時点でのチームスコアは次のとおりだ。
| 順位 | チーム名 | チームスコア | セミファイナル期間中の増加量 | 持ち越しスコア |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | ドリブンズ | 714.8 | +157.0 | 357.4 |
| 2位 | Pirates | 626.7 | +386.1 | 313.4 |
| 3位 | フェニックス | 512.9 | +343.0 | 256.5 |
| 4位 | 雷電 | -9.9 | -175.1 | -4.9 |
| 5位 | 麻雀格闘倶楽部 | -84.5 | -188.5 | |
| 6位 | ABEMAS | -625.5 | -522.5 |
上位3チームが3桁のプラスを、下位3チームが3桁のマイナスを記録し、上下の格差が広がる結果となった。
ドリブンズがレギュラーシーズンに続いて首位通過を達成。ただし今回は、Piratesやフェニックスに大きく迫られ、余裕のある展開ではなかった。
Piratesとフェニックスは、セミファイナルだけで300pt超を積み上げる猛追を見せた。特にPiratesは、一時ドリブンズを抜いて首位に立つ場面もあった。
雷電と麻雀格闘倶楽部は、終盤に順位が二度入れ替わる激しい4位争いを展開。しかし実際には、ともに180pt前後のマイナスを喫した泥沼の戦いであった。
ABEMASは最後まで調子が上がらず、苦しい1ヶ月となった。
2. ファイナル進出確率
ファイナル進出確率の推移は下図の通りだ。



セミファイナル序盤は雷電が優位に立っていたものの、4月22日の麻雀格闘倶楽部の2連対、続く23日の雷電の2連続逆連対、さらに25日の直接対決での麻雀格闘倶楽部の勝利が響き、雷電のファイナル進出確率は一時16.8%にまで落ち込んだ。
しかし、4月28日の直接対決で雷電が圧勝して4位を奪還。最終日までそのリードを守り切り、ファイナル進出を決めた。
麻雀格闘倶楽部はセミファイナル前半の停滞、そして28日の敗北が大きく響いた。
2.1 ファイナル進出MVP
チームのファイナル進出確率を最も多く増やした選手を「ファイナル進出MVP」として勝手に表彰する。
ファイナル進出MVPは…………TEAM RAIDEN / 雷電・黒沢咲選手!!
黒沢選手は雷電のファイナル進出確率を+66.6%も押し上げる大活躍で、雷電をファイナルステージへと導いた。
チームにとって特に重要な一戦で、求められた条件をきっちりクリアしてみせた姿が印象的だった。
2位以下の選手のデータは以下の表にまとめた。(「FPA」が増やしたファイナル進出確率の大きさを示す)

2位・3位にはフェニックスの醍醐選手と元太選手がランクイン。レギュラーステージ、セミファイナルともに着実にスコアを積み重ねた。
4位は麻雀格闘倶楽部の寿人選手。MVPに迫る勢いでスコアを伸ばし、レギュラー終了時点でのFPAは+33.0%。セミファイナル期間中も+78.9ptと好成績を残したが、最終盤で勝ちきれなかったのが痛手となり、ファイナル進出確率を大きく増やせなかった。
2.2 ファイナル進出最高打点賞
1試合でファイナル進出確率を最も多く増やした選手を、最高スコア賞に倣って「ファイナル進出最高打点賞」として勝手に表彰する。
ファイナル進出最高打点賞は…………TEAM RAIDEN / 雷電・黒沢咲選手!!
対象試合は2025年5月1日第1戦のトップ。
#Mリーグ 5/1(木)試合結果
— Mリーグ/プロ麻雀リーグ (@m_league_) 2025年5月1日
1⃣試合目
1位 黒沢(雷電)+54.2
2位 元太(フェニックス)+10.7
3位 優(Pirates)▲14.0
4位 太(ドリブンズ)▲50.9
2⃣試合目
1位 醍醐(フェニックス)+57.9
2位 園田(ドリブンズ)+12.0
3位 本田(雷電)▲20.9
4位 仲林(Pirates)▲49.0
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5位・麻雀格闘倶楽部と41.3pt差で迎えたセミファイナル最終日。「ラスを引けば次戦で連対必須」という極限の状況でのトップだった。
このトップにより雷電のファイナル進出確率は+29.2%(70.8%→100.0%)と大きく上昇し、2戦目を待たずしてファイナル進出が確定的となった。
なお、この半荘のオーラスで黒沢選手は3着→トップの和了を決めたが、雷電が3着で終わったときのファイナル進出確率は平均62.5%だったので、この一撃だけで37.5%ほどファイナル進出確率を押し上げたことになる。個人的にこのツモで2020シーズンレギュラー最終盤(2021/3/11第2戦)のフリテン7pツモ逆転トップを思い出しました。黒沢咲ってやっぱりかっこいい。
次点は2025年4月28日第1戦の雷電・黒沢咲選手のトップ(+59.6pt)で、+26.0%(20.4%→46.4%)
第3位は2025年4月11日第1戦の麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人選手のトップ(+78.9pt)で、+15.1%(39.6%→54.8%)だった。
これらの数値からも、雷電と麻雀格闘倶楽部の4位争いが如何に熾烈であったかが垣間見える。
3. セミファイナル個人成績
この章では、各チームのセミファイナル個人スコア、総合個人スコア、ファイナル進出確率への貢献を示すグラフを掲載する。それぞれの指標の説明は以下のとおり。
- セミファイナル個人スコア:セミファイナル期間中に獲得した個人スコア
- 総合個人スコア:[レギュラー個人スコア] ÷ 2 +[セミファイナル個人スコア]
- ファイナル進出確率への貢献:チームのファイナル進出確率をどれだけ押し上げたかを示す値
なお、ファイナル進出確率への貢献を示すグラフ中の「Luck」は、自チームが参加していない対局によって確率が増加した分を表す。
つまり、「関係ない卓の結果で自チームが得をした」ラッキーなポイント、というわけだ。
また、各チームのチーム記録も掲載する。各項目の説明は下記の通りだ。
- セミファイナル個人スコアMVP:チームで最もセミファイナル個人スコアを稼いだ選手
- 総合個人スコアMVP:チームで最も総合個人スコアを稼いだ選手
- 最高スコア:1試合で総合個人スコアを最も多く稼いだ選手
- ファイナル進出MVP:チームで最もファイナル進出確率を稼いだ選手
- ファイナル進出最高打点:1試合でファイナル進出確率を最も多く稼いだ選手
3.1 赤坂ドリブンズ



セミファイナル期間中、たろう、浅見、園田3選手がプラスを、太選手がマイナスを記録した。
特にたろう選手は6戦5連対の好調でセミファイナルのドリブンズを牽引した。
ファイナル進出確率はセミファイナル開幕時点で98.8%だったので、セミファイナルでファイナル進出確率はほとんど変動しなかった。
[チーム記録]
| 選手名 | 記録 | 備考 | |
|---|---|---|---|
| セミファイナル個人スコアMVP | 鈴木たろう | +267.4pt | 全体第3位 |
| 総合個人スコアMVP | 鈴木たろう | +529.9pt | 全体第3位 |
| 最高スコア | 鈴木たろう | +75.2pt | 2025年4月8日第1戦 |
| ファイナル進出MVP | 鈴木たろう | +16.1% | 全体第9位 |
| ファイナル進出最高打点 | 鈴木たろう | +8.2% | 2024年10月18日第1戦 |
3.2 U-NEXT Pirates



セミファイナル期間中、4選手ともプラスを記録した。
特に鈴木優選手の活躍が圧倒的で、2025年4月17日には連投連勝で合計+161.7ptの荒稼ぎを見せた。
セミファイナルの早い段階でファイナル進出確定圏に入り、ファイナル進出確率貢献はセミファイナル中盤以降ほとんど変わっていない。
[チーム記録]
| 選手名 | 記録 | 備考 | |
|---|---|---|---|
| セミファイナル個人スコアMVP | 鈴木優 | +472.6pt | 全体第1位 |
| 総合個人スコアMVP | 鈴木優 | +653.4pt | 全体第2位 |
| 最高スコア | 鈴木優 | +100.7pt | 2025年4月17日第2戦 |
| ファイナル進出MVP | 仲林圭 | +27.0% | 全体第6位 |
| ファイナル進出最高打点 | 仲林圭 | +7.8% | 2025年4月7日第2戦 |
3.3 セガサミーフェニックス



セミファイナル期間中、4選手ともプラスを記録した。
レギュラーMVP・醍醐選手がセミファイナルでも全体2位の大爆発。セミファイナル開幕当初競っていた雷電を大きく突き放した。
[チーム記録]
| 選手名 | 記録 | 備考 | |
|---|---|---|---|
| セミファイナル個人スコアMVP | 醍醐大 | +380.0pt | 全体第2位 |
| 総合個人スコアMVP | 醍醐大 | +818.6pt | 全体第1位 |
| 最高スコア | 醍醐大 | +62.6pt | 2025年4月14日第1戦 |
| ファイナル進出MVP | 醍醐大 | +52.3% | 全体第2位 |
| ファイナル進出最高打点 | 醍醐大 | +11.7% | 2025年4月14日第1戦 |
3.4 TEAM RAIDEN / 雷電



セミファイナル期間中、黒沢選手がプラスを、他3選手がマイナスを記録した。
レギュラーでは一貫して安定感のあるチームスコア推移だったが、セミファイナル中盤以降パタリと勝てなくなってしまった。一時は麻雀格闘倶楽部を下回り敗退の危機に瀕したが、黒沢選手の起死回生の2トップで4位通過を果たした。
[チーム記録]
| 選手名 | 記録 | 備考 | |
|---|---|---|---|
| セミファイナル個人スコアMVP | 黒沢咲 | +257.8pt | 全体第4位 |
| 総合個人スコアMVP | 黒沢咲 | +357.2pt | 全体第9位 |
| 最高スコア | 黒沢咲 | +59.6pt | 2025年4月28日第1戦 |
| ファイナル進出MVP | 黒沢咲 | +66.6% | 全体第1位 |
| ファイナル進出最高打点 | 黒沢咲 | +29.2% | 2025年5月1日第1戦 |
3.5 KONAMI麻雀格闘倶楽部



セミファイナル期間中、寿人選手がプラスを、他3選手がマイナスを記録した。
セミファイナル序盤は、寿人選手がレギュラー終盤の勢いのままポイントを積み上げたが、それ以降は4選手ともなかなか噛み合う日がなかった。
4月22日の2連対を口火に、雷電の失速と相まって最終日までファイナル進出の希望を残したが、最終日に対局できないディスアドバンテージもあり進出は叶わなかった。
[チーム記録]
| 選手名 | 記録 | 備考 | |
|---|---|---|---|
| セミファイナル個人スコアMVP | 佐々木寿人 | +99.6pt | 全体第10位 |
| 総合個人スコアMVP | 佐々木寿人 | +487.6pt | 全体第4位 |
| 最高スコア | 佐々木寿人 | +78.9pt | 2025年4月11日第1戦 |
| ファイナル進出MVP | 佐々木寿人 | +40.7% | 全体第4位 |
| ファイナル進出最高打点 | 佐々木寿人 | +15.1% | 2025年4月11日第1戦 |
3.6 渋谷ABEMAS



セミファイナル期間中、4選手ともマイナスを記録した。
セミファイナル開幕から猛烈な追い風に見舞われ、中盤に松本選手のトップがあったものの、4選手とも調子が上向かなかった。
[チーム記録]
| 選手名 | 記録 | 備考 | |
|---|---|---|---|
| セミファイナル個人スコアMVP | 白鳥翔 | -70.4pt | 全体第14位 |
| 総合個人スコアMVP | 白鳥翔 | +333.6pt | 全体第10位 |
| 最高スコア | 松本吉弘 | +54.5pt | 2025年4月18日第2戦 |
| ファイナル進出MVP | 白鳥翔 | +19.0% | 全体第7位 |
| ファイナル進出最高打点 | 白鳥翔 | +8.2% | 2025年2月11日第2戦 |
4. 優勝確率
優勝確率の推移は下図の通りだ。


また、現在の各チームの優勝確率は下表の通りだ。
| 順位 | チーム名 | 優勝確率 | セミファイナル期間中の増加量 |
|---|---|---|---|
| 1位 | ドリブンズ | 41.8% | -2.1% |
| 2位 | Pirates | 32.4% | +15.2% |
| 3位 | フェニックス | 22.7% | +9.6% |
| 4位 | 雷電 | 3.0% | -9.8% |
Piratesとフェニックスが大きく追い上げ、ファイナルステージは1位〜3位の三つ巴の様相を呈している。
ドリブンズはセミファイナルで100pt超を積み上げたが、Piratesとフェニックスに約200ptの差を詰められ、優勝確率はわずかに下がった。
一方、雷電は厳しい状況だ。セミファイナル期間中にスコアを落とし、優勝確率はセミファイナル開幕時の4分の1未満になってしまった。
4.1 優勝するのに必要なトップ数
ファイナル16戦でトップを獲った回数と優勝確率の関係は次図の通りだ。

また、優勝確率が50%になるようなトップ数を「必要トップ数」と称すと、現在の必要トップ数は次の表のようになる。
| 順位 | チーム名 | 必要トップ数 | 残り試合数 | 必要トップ率*4 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | ドリブンズ | 4.44トップ | 16試合 | 27.8% |
| 2位 | Pirates | 5.02トップ | 16試合 | 31.4% |
| 3位 | フェニックス | 5.67トップ | 16試合 | 35.5% |
| 4位 | 雷電 | 8.11トップ | 16試合 | 50.7% |
ファイナルで獲得できるトップ数の期待値は4つ。ただ、どのチームも4トップ獲得時の優勝確率は50%に届かない。つまり、現時点で明確に有利と言えるチームは存在せず、ファイナルで勢いに乗ったチームが、そのままシャーレを戴くことになるだろう。
ただし、雷電は劣勢だ。優勝を狙うなら、残り16戦で最低でも7トップは必須で、並の追い上げでは足りない。
5. 順位確率
各チームの順位確率(各順位になる確率)は次表の通りだ。

ここからは、各チームごとにファイナルで獲得したトップの数と順位確率との関係を見ていこう。
5.1 赤坂ドリブンズ

セミファイナルで下からの突き上げをくらった首位・ドリブンズ。
ファイナルでは16戦で3トップを挙げれば2位以上になる確率が50%を超え、5トップで優勝確率が50%を上回る。
5.2 U-NEXT Pirates

セミファイナルで猛追を見せ、ドリブンズに44.0pt差(持ち越し後)に迫ったPirates。
各種条件はドリブンズとほとんど変わらないか。
5.3 セガサミーフェニックス

首位と100.9pt差の3位・フェニックス。
ファイナルでは16戦で4トップを挙げれば2位以上となる確率が50%を超え、6トップで優勝確率が50%を上回る。
ドリブンズとは、ちょうど1トップ分の距離感といったところだ。
5.4 TEAM RAIDEN / 雷電

3位と261.4pt差で迎える4位・雷電。
3位以上を狙うには最低でも4トップ、可能なら6トップは欲しいところだ。
以上です。ではでは。
*1:「-47.2/+64.8/+2.7/-20.3」みたいな4つの数字の組
*2:生成方法を説明した記事→
https://fujimoto-green.hatenablog.com/entry/2024/09/10/071623
*3:参考記事→
https://fujimoto-green.hatenablog.com/entry/2024/10/15/235945
*4:必要トップ数÷残試合数