こんにちは!! ライオンズファンの藤本みどりです。
先日の記事で、NPB公式の個人年度成績ページのURLにある8桁の数の謎について考察しました。
今回はその続きです。
この記事だけでも概ね成立するように書いたつもりですが、前回の記事を読むとスムーズかもしれません。
0. 前回までのあらすじ
NPB公式の個人成績ページのURLは「https://npb.jp/bis/players/51953880.html(西口文也監督)」のように、8桁の数を含みます。
この数は選手ごとに異なり、一定の法則に従って割り振られています。
8桁の数をある方法で変換すると、私が「Player ID」と呼ぶ7桁の数を手に入れることができます。
例えば、上記の「51953880」を変換すると「1995042」となります。
すなわち、西口監督のPlayer IDは1995042です。
変換の方法は前回の記事に書いてあります。
NPBは1936年から2024年まで選手リストを作っており、殆どの選手はその入団年か一軍初出場年のリストに入れられます。
Player IDは、その選手が何年のリストの何番目に入れられたかを示す数です。
例えば西口監督のPlayer IDは1995042ですから、「西口文也は1995年のリストの42番目に収録されている選手」であることがわかります。
比較的最近の年のリストは、その年に初めてNPB球団に入団した選手が入れられており*1、リストの収録順は次のとおりです。
- 日本人選手(五十音順)
- 外国人選手(五十音順、イニシャルは除く)
- 途中入団選手(入団日順)
また、一軍出場することなく退団した選手の個人成績ページはのちに削除されます。
上の順序規則を使えば、削除されたページが誰の個人成績ページだったのかを逆算することができます。
そのため、原理的にはNPBに入団した全選手のPlayer IDリストを作ることができるはずです。
一方で、比較的昔の年のリストは、その年に初めて一軍の試合に出場した選手が入れられています。
そのため、昔の選手のうち一軍出場経験が無い選手は始めからリストに含まれておらず、リストから全在籍選手を把握することはできません。
収録順序は日本人・外国人をまとめた五十音順です。
ちなみに、NPB公式の「プロ野球在籍者名簿」では、一軍出場経験の無い選手も収録されています。
支配下登録されなかった育成選手も収録されていますが、育成選手制度以前の支配下外選手(養成選手、練習生)で支配下登録されなかった選手はおそらく収録されていません。
補足:途中入団選手の扱い
「比較的最近の年のリストでは、途中入団選手が最後に記載される」と書きましたが、実際には開幕前に入団した選手も途中入団に含まれることがあります。
NPBでは毎年1月下旬に前年の契約保留選手を一斉に支配下登録するタイミングがあります。
そのタイミングより後に支配下登録された選手は、2, 3月に登録されていてもリスト上では途中入団選手として扱われているようです。
一例として元巨人のM. シューメーカー投手を挙げましょう。
シューメーカー投手は開幕前に入団し、2022年2月28日に支配下登録されています。
しかし、2022年の巨人は1月28日に前年の契約保留選手を一斉に支配下登録しているため、シューメーカー選手はリスト上では途中入団選手として扱われています。
(参考)2022年の選手リスト
2022001〜2022128 日本人選手
2022129〜2022163 外国人選手
2022164〜2022174 途中入団選手
※シューメーカー選手のPlayer IDは2022164
1. すべての年の選手リストを作成しました
- 緑色の文字は、ページが削除されたのを私が復元した情報です。各球団のサイトやWikipedia、Wayback Machineなどで調べて復元しましたが、情報が不正確である可能性があります。
- 各年のリストの末尾の選手のページが削除された場合、それを見逃している可能性があります。
- B列は現在所属しているチームをアルファベット1字の略号で表しました。ただし、横浜DeNAベイスターズは公式の略号が「DB」で2字になってしまうので、「W」としました。*2
- C列は現在の背番号ですが、育成選手の背番号は非表示にしました。また、スプシに00と入力すると0に変換されてしまうので、この表では背番号00を-1と表しました。
- 所属チームや背番号などの年によって変わる情報*3が最新の状態でない可能性がありますが、ご容赦ください。
2. 各年の選手リストの収録順序
選手リストの収録順序は「比較的最近の年」と「比較的昔の年」とで異なると書きましたが、この項で具体的に説明します。
2.1 1936年〜1987年の選手リストの収録順序
1987年までは前述の「比較的昔の年」に該当します。
これらの年のリストは、実際は現在の五十音順と部分的に異なる順序で収録されています。
以下では、その並べ方の規則を解説します。
2.1.a 基本規則・漢字の五十音順
1940年のリストでは次の順番で選手が収録されています。
1940009 小野寺 洋(おのでら・ひろし)
1940010 大橋 智干(おおはし・ともひさ)
1940011 岡田 福吉(おかだ・ふくよし)
1987年以前のリストは名前の読み方の五十音順ではなく、漢字の五十音順で並んでいます。
上記の例では、「小(お)→大(おお)→岡(おか)」の順に並んでいます。
2.1.b 名前の読み方は漢字の五十音順に影響しない
1937年のリストには次の例があります。
1937001 安藤 之則(あんどう・ゆきのり)
1937002 阿部 重四郎(あべ・じゅうしろう)
1937003 青木 正一(あおき・しょういち)
名前の読み方は漢字の五十音順に影響を与えません。
安藤の「安」は「あん」と読みますが、それとは関係なく、リストでは「安(あ)→阿(あ)→青(あお)」という漢字の五十音順に従って並べられます。
2.1.c 一つの漢字に複数の読みが認められる例(2.1.bの例外)
1986年のリストには次の例があります。
1986033 園川 一美(そのかわ・かずみ)
1986034 大門 和彦(だいもん・かずひこ)
1986035 高橋 和彦(たかはし・かずひこ)
「園(その)→大(だい*4)→高(たか)」の順に並んでおり、明らかに「大」を「おお」ではなく「だい」と読ませています。
このことから、「大(おお)」「大(だい)」のように大きく異なる複数の読み方がある場合は、それぞれの読み方に対して漢字の五十音順が決められています*5。
これは2.1.bの例外的な規則であると言えます。
2.1.d 同じ読みの漢字の順序
1954年のリストでは次の例があります。
1954015 小野 拓(おの・ひろし)
1954016 大石 正彦(おおいし・まさひこ)
----中略----
1954023 大矢根 博臣(おおやね・ひろおみ)
1954024 太田 武(おおた・たけし)
1954025 仰木 彬(おおぎ・あきら)
1954026 岡崎 恒人(おかざき・つねと)
「小(お)→大(おお)→太(おお)→仰(おお)→岡(おか)」の順に並んでいます。
同じ読みの漢字は常に一定の順序で並べられていますが、その順序の決め方はよく分かっていません。(画数順?)
2.1.e 同じ漢字の順序(読みが異なる場合)
1964年のリストには次の例があります。
1964002 安仁屋 宗八(あにや・そうはち)
1964003 安東 功(あんどう・いさお)
1964004 相沢 勝(あいざわ・まさる)
同じ漢字が異なる読みをする場合*6は、その読みの順で並べられます。
上記では「安「あ」→安「あん」」の順で並んでいます。
ただし、「安」を「あん」と読む場合でも「安(あ)→相(あい)」という漢字の五十音順には従います。
1983年にも同様の例が見られます。
1983004 井辺 康二(いべ・やすじ)
1983005 井上 卓也(いのうえ・たくや)
「井「い」→井「いの」」の順に並んでいます。
2.1.f 同じ漢字の順序(読みが同じ場合)
1980年に次の例があります。
1980007 大石 友好(おおいし・ともよし)
1980008 大久保 弘司(おおくぼ・ひろし)
1980009 大久保 美智男(おおくぼ・みちお)
1980010 大町 定生(おおまち・さだお)
読み方が同じ場合は、次の漢字の五十音順で並べられます。
上記の4人の名前はすべて「大(おお)」から始まるので、2文字目の「石(いし)→久(く)→町(まち)」という漢字の五十音順で並べられています。
また、2人の大久保選手は、名前の1文字目「弘(ひろ)→美(み)」の順に並べられています。
2.2 1990年, 1992年〜の選手リストの収録順序
1990年と1992年以降の年とは、前述の「比較的最近の年」にあたります。
そのため、選手リストには、その年に初めてNPB球団に入団した選手が収録されます。
収録順も①日本人選手、②外国人選手、③途中入団選手に分けられています。
①は現代のいわゆる五十音順、③は入団日順で並べられていますが、②の収録順は年によって異なります。
以下では、②外国人選手の収録順序について説明します。
2.2.a 〜1997年
1997年以前の外国人選手は、①球団順、②ポジション(投→捕→内→外)③背番号順で並べられています。
球団の順番は年によって変わります。
例えば、1990年の球団の順番は次のとおりです。*7
なぜこの順番なのかは分かりません。
2.2.b 1998年〜
1998年以降の外国人選手は、すべて現代の五十音順で並べられています。
分かりやすいですね!
2.3 1988, 1989, 1991年の選手リストの収録順序
1988, 1989, 1991年の選手リストの収録順序は、特殊です。
いずれの年も、多くの選手が球団順に収録されているという特徴があります。
以下では、収録順序について各年ごとに解説します
2.3.a 1988年
1988年の選手リストは、1987年以前と同様に、その年に初めて一軍の試合に出場した選手が収録されています。
収録順は、①球団順、②五十音順(1987年以前と同様)です。途中入団選手も開幕からいる選手と同様に扱われます。
球団の順番は次のとおりです。
- 中日ドラゴンズ(1988001〜1988006)
- 阪神タイガース(1988007〜1988013)
- ヤクルトスワローズ(1988014〜1988019)
- 横浜大洋ホエールズ(1988020〜1988027)
- 広島東洋カープ(1988028〜1988033)
- 読売ジャイアンツ(1988034〜1988040)
- 西武ライオンズ(1988041〜1988043)
- 阪急ブレーブス(1988044〜1988051)
- 日本ハム・ファイターズ(1988052〜1988058)
- 南海ホークス(1988059〜1988065)
- ロッテ・オリオンズ(1988066〜1988069)
- 近鉄バファローズ(1988070〜1988074)
なぜこの順番なのかは分かりません。1989年、1991年の球団順についても同様に分かりません。
2.3.b 1989年
1989年の選手リストは、過去の年のリストに収録されたことのないNPB球団在籍選手全員を収録しています。
収録順は①球団順、②ポジション(投→捕→内→外)、③背番号順です。途中入団選手は入団日順にリストの末尾に収録されます。
まず、この年の球団の順番は次のとおりです。
- 中日ドラゴンズ(1989001〜1989028*8)
- 日本ハム・ファイターズ(1989032〜1989053)
- 読売ジャイアンツ(1989064〜1989096)
- 阪神タイガース(1989101〜1989129)
- 福岡ダイエーホークス(1989131〜1989144)
- 広島東洋カープ(1989146〜1989176)
- ロッテ・オリオンズ(1989178〜1989197)
- 西武ライオンズ(1989199〜1989220)
- 横浜大洋ホエールズ(1989222〜1989243)
- ヤクルトスワローズ(1989246〜1989266)
- 近鉄バファローズ(1989269〜1989291)
- オリックス・ブレーブス(1989291〜1989303)
この年から全選手にPlayer IDが割り振られるようになるため、一軍未出場のまま引退した選手のページが削除されて生じる、Player IDの空き番が確認できます。
上記の収録順の規則を使えば空き番がどの選手に当てられていたか推測することができるはず……ですが、うまくいかないことがあります。
例えば、Player ID: 1989004のページは削除され、空き番が生じています。
1989003 今中 慎二(投手・背番号14)
1989004 空き番
1989005 中嶋 治彦(投手・背番号26)
リストの前後の選手から、Player ID: 1989004の選手は「中日の投手で、背番号15〜25で、1988年以前のリストに収録されていない選手」だと分かります。
しかし、この条件を満たす選手はいません。
リストに載ってる選手を見る限り上記の規則で収録されているのは確かだと思うんですけどね……まだまだよく分からないことが多いです。
2.3.c 1991年
1991年の選手リストは、1992年以降と同様に、その年に初めてNPB球団に入団した選手を収録しています。
収録順は①球団順、②ポジション(投→捕→内→外)、③背番号順です。途中入団選手は入団日順にリストの末尾に収録されます。(1989年と同じ)
この年の球団の順番は次のとおりです。
- 読売ジャイアンツ(1991001〜1991008*9)
- 中日ドラゴンズ(1991010〜1991019)
- ヤクルトスワローズ(1991020〜1991028)
- 阪神タイガース(1991030〜1991037)
- オリックス・ブルーウェーブ(1991038〜1991042)
- 西武ライオンズ(1991043〜1991049)
- ロッテ・オリオンズ(1991050〜1991056)
- 日本ハム・ファイターズ(1991057〜1991067)
- 福岡ダイエーホークス(1991068〜1991080)
- 近鉄バファローズ(1991081〜1991087)
- 広島東洋カープ(1991093〜1991098)
- 横浜大洋ホエールズ(1991099〜1991106)
3. 各年の選手リストの人数
各年の選手リストの人数を棒グラフにしました(下図)。

以下、特筆すべき年を挙げて解説します。
1945年は、前年に日本野球報国会*10が活動休止し、公式戦が開催されなかったので、新規に一軍出場した選手がおらず、1945年のリストに登録された選手は0人です。
1950年は、2リーグ制が導入された初年度で、球団数は8から15に増えました*11。そのため、新規に入団した選手が多く、リストの人数も突出して多いです(189人)。
1989年は、過去の年のリストに収録されたことのないNPB球団在籍選手全員を収録しています(2.3.b参照)。そのため、リストの人数は突出して多いです(315人)。
4. 感想
まとめるのが大変でした。ご指摘等あればよろしくお願いします。
暇なときにちまちま空き番埋めをやっていきたいと思います。
*1:西口監督も入団年である1995年のリストに入れられています。
*3:所属チーム、背番号、登録名、ポジション、投打、身長、体重
*4:濁音は清音として扱います。同様の例として、1960年の「後(ご)→近(こん)」があります。
*5:すなわち、「小(お)→大(おお)→岡(おか)→……→田(た)→大(だい)→高(たか)」
*6:2.1.cのケースを除く
*7:1990年は、ロッテ・オリオンズ、福岡ダイエーホークスは新外国人選手をすべて途中入団で獲得しています。西武ライオンズは新外国人選手を獲得していません。
*8:一軍出場実績の無い選手のページは削除されるため、1989029〜1898031の選手が中日、日本ハムのどちらに在籍していたかは未確認です。以下についても同様。
*9:一軍出場実績の無い選手のページは削除されるため、1991009の選手が巨人、中日のどちらに在籍していたかは未確認です。以下についても同様。
*11:広島カープ、国鉄スワローズ、大洋ホエールズ、西日本パイレーツ、西鉄クリッパーズ、近鉄パールス、毎日オリオンズが参入。